室長からのメッセージ
グローバル教師力開発推進室のHPをお訪ねいただきありがとうございます。
筑波大学は、創設以来、総合大学としては他に例を見ない幅広い学問分野を有しており、専門分野を深化させながら、新たな学際・融合的な教育研究を開拓してきました。その中にあって、人材育成マインドは、「師魂理才」と表現されてきました。
「師魂理才」とは、親や先生のように人に接する心や人々をまとめる力をもち、かつ合理的な問題解決の才能をもつことを意味しています。したがって、筑波大学のミッションは、「師魂理才」の精神を基盤にして、地球規模課題の解決と未来地球社会の創造に向けた知を創出するとともに、それを牽引するグローバル人材を育成することにあると考えられています。
ここで言う「師魂」という言葉はどこから出てきたのでしょうか。「シコン」と言えば、「士魂」、つまり「武士の魂」が思い出されることから推察すると、「師魂」とは、「教師の魂」から由来していると考えられます。つまり、筑波大学は、総合大学であって、いわゆる教員養成大学では決してないのですが、「教師」と深くつながっている大学なのです。歴史を振り返れば、それは明らかです。
もちろん筑波大学は、創設されて50年も経過していませんが、そのルーツを探ると、140年以上の歴史が存在します。日本を近代化するために、明治政府は近代的な学校を設立するのですが、その先駆けとして、1872年にまず教師を養成するための日本初の師範学校が東京のJR御茶の水駅の近くに設立されました。その師範学校こそが、筑波大学のルーツです。したがって、筑波大学は、東京師範学校、東京高等師範学校、東京教育大学などと名前を変えながら、中等教育段階を中心に優秀な教師を多数輩出するとともに、確実に日本の教育界をリードしてきました。それゆえ、総合大学として知られている筑波大学は、現在でもなお、国内外の教育界から「教育の筑波」や「教育の大本山」と呼ばれるように、高い評価と期待・信頼を受け続けているのです。
そのような状況の中で、2015年4月1日より発足したグローバル教師力開発推進室は、全国各地の大学にある、いわゆる「教職センター」の役割だけを担うものでなく、グローバル化に対応した人材育成を担う教員を養成するための施策を研究および企画立案し、その推進および支援を行うとともに、大学全体の教員養成に係る質の保証とその向上を図ることを目的として設置されたものです。したがって、グローバル教師力開発推進室は、こうした目的を達成するため、具体的に以下のような業務を担います。
第一に、学群・大学院における教員養成に関する基本方針の策定です。ここでは、筑波大学における教員養成の理念や目標をはじめ、内容や方法や評価などを取りあげ、現在の諸問題の解決とともに、将来の改善計画を検討します。今のところ、学群・学類という学士課程を中心に考えていますが、将来的には大学院の修士課程(博士前期課程)も視野に入れながら、学士・大学院を一体化したかたちで教員養成を行いたいと思っています。
第二に、教員養成・現職教育を一体化した教師教育プログラムの開発研究です。共通で履修する教職科目等について教員養成の質を確保するために常に改善を図り、教員免許状を取得する学生の皆さんの「教師として必要な資質能力」の育成に取り組んでいます。また、教職へのキャリア支援のために「教職サポートルーム」を開設しています。ここでは、教職科目履修の相談だけでなく、採用に向けて、各自治体の教員採用試験の出題傾向などの情報提供や勉強方法についてのアドバイスを行っています(質問箱も設けられています)。なお、「教職サポートルーム」には、教員採用試験をはじめ、教育実践全般にかかわる新聞や雑誌も備えられています。
第三に、教育実習の計画・実施です。実際に教育実習は筑波大学の附属学校と、協力校で実施されます。教育実習は大学で学んだ理論を学校教育の中で実践する貴重な機会であり、教師としての実践的指導力を育成するために非常に重要な学びの機会です。教育実習がそうした機会となるよう、推進室は実習後の「教職実践演習」も視野にいれながら、計画・実施という役割を担います。なお、「教職サポートルーム」には、学習指導要領とその解説、および小学校・中学校・高等学校の教科書が備え付けられています。
興味・関心のある方は、実際に「グローバル教師力開発推進室」、それに付随する「教職サポートルーム」に、ぜひお越し下さい。スタッフ一同、お待ちしております。
グローバル教師力開発推進室長 唐木 清志